塩焼きを食べに行こ

埼玉県に住む大学1年生。焚火の温かさに心惹かれています。

夏と鮭の終わり

 

北海道とは違う本州のある湖での鮭の遡上は、また違った感動がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高校生の姿を見ると去年の今頃の思いが蘇る。

夏休みが終わると、物凄い速さで過ぎる日々。気づくと入試も僕の大好きな秋が終わっていた。

 

SNSで見かけた鮭の群れをこの目で見たいと思っていたのもこの時期だったかな。

 

大学の長期休暇最終日の朝、ふとそんなことを思い出した。

 

たまには釣りをしないドライブも良いのではないかと。

 

相棒がバイトが無いのを2日前ほどに聞いていたが、確認の連絡をしたら乗り気だったので、僕らの思い出の地“栃木県日光”に勢いで向かっていた。

 

当日の天気は曇りのち雨だったことも確認せずに来たので寒かったが、車の中はむしろ山を登るので暑くなっていた。

 

今年のGWに来た時に釣った鱒の味が忘れられなく、昼にそれを食べることは決めておいた。

 

群馬の渡良瀬方面から抜けたため、シーズン中に足繁く通った川を眺めながら、山道を進んで行く。

 

斜面には、まだ本腰を入れない広葉樹がまだまだ現役だぞと言わんばかりに薄緑の葉は風になびかれていた。

 

おおよそ3時間で名坂いろは坂の手前の休憩所で、河原へ降りた。

 

連日の雨で普段伏流している大谷川が、青く透き通った冷水を運んでいる。

 

高校2年の時に助手席に座っている相棒と1匹の鱒を塩焼きにして食べた思い出は、最近のことのようで遥か昔のことのように感じられる。

 

毎回思うのだが、なぜこの川はこんなにも堰堤が多いのか。僕らにはわからないが減らせとかではなく逆に関心してしまうものだ。よくもこんな斜面にどうやって資材を運んだのか。ピラミッドに似た不思議な雰囲気がある。

 

急カーブが続くこの坂を超えるとマザーレイク中禅寺湖に着いた。

 

前日まで解禁していた鱒釣りが終わり、少し賑わいが落ち着いたように感じられる。

 

少し沖合にボートが浮かんでいたが、この日から解禁したワカサギ漁船だと思われる。

 

正午も1時間以上過ぎた湖畔の店は仕舞いの作業が忙しそうだ。

 

その辺の店に入り、鱒の塩焼きと湯葉蕎麦を食べた。寒かったことあり優しいお出汁が染み込む。五臓六腑に染み渡るとはこのことだろうか。

 

目当ての鮭の遡上する川に向かう。が場所がわからない。

 

近くにあった水族園に受付の人に聞き、その場を去った。

 

SNSやネットでもあまり公になっていないため、半信半疑でその場へ向かうと彼らはいた。

 

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そう、ヒメマスの産卵遡上の群れである。

 

多くの鮭鱒は秋に海や湖から、母なる川へと産卵のために帰る。

 

本来このヒメマスも海に降れば、ベニザケとなり真っ赤な体色を纏い遡上する。

 

しかし、日本にいる多くのヒメマスは水温の関係で海へ降れない。そのため水温の低い山上湖では、川へあがることを許される。

 

そして彼らは、ここで一生を終える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-あとがき-

 

今年はあの神秘的風景に行くことができました。

 

一年でも2週間ほどしかない遡上期間に間に合えたのは我ながら幸運だったと思う。

 

今度こそはしっかりしたカメラで納めたいと思わせる彼らのバイタリティに感謝したい。

 

また行こうな、相棒よ。